「海辺に多く見られる木は?」。答えは「クロマツ」です。
「なぜ海辺にクロマツが多く見られるのでしょう?」。答えは「砂と風から農作物を守るために人が育てたから」です。
唐突にクイズ形式で始めてしまいましたが、この絵本にはクロマツとアカマツの生態や特徴、歴史が純和風のイラストとともに書かれており、とても分かりやすいです。このようについクイズを出してしまう気持ちも、絵本を開けば分かってもらえるかと思います。
それではクロマツのクイズの続きのお話を紹介します。
海岸の砂地は水も養分も少なく風も強いことから、苗木はなかなか根付きませんでした。それでも昔の人たちは失敗を重ねながらまた植えなおして、さらに風よけなど工夫を凝らして育てたそうです。
一方、アカマツは古くから油、炭、松ヤニなど多用途に利用されてきた歴史があり、利用されることで林が維持されてきたそうです。
見慣れた風景は日頃意識することが薄れてしまいがちですが、この絵本を通して「松は日本の原風景」ということを改めて実感させられました。読み聞かせをきっかけに美しい松の風景を伝えていきたいですね。
千葉 智晴(木育パパサークル「あきた木木遊び隊」)
(令和3年1月10日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 小学校低学年ぐらいから |
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作者名等 | ゆのき ようこ/文 阿部 伸二/絵 |
出版社 | 理論社 |