表紙を飾る「こがも」の群れは、どこを目指して飛んでいるのでしょう。この絵本は、すむ場所を変える渡り鳥について紹介しています。
日本にやって来る鳥たちは実に多彩で、春に来る鳥、冬に来る鳥などそれぞれ100種類以上もいるとのこと。
表紙の「こがも」の群れはどこへ行くのか-という疑問は、表情豊かな挿絵と豊富な知識に基づく解説によって、渡り鳥の世界に導かれるように解けていきます。「鳥ってすごい!」と感じると同時に、なぜ「渡り」という行動をするのだろうと新たな疑問も湧いてきます。
絵本では、3千キロや1万キロもの長距離を飛ぶ鳥がいることや、インドガンが8千メートルの高い山々を越えて飛行を続けていることなどが紹介されています。また、移動中に灯台やビルにぶつかって命を落とす鳥たちがいること、さらに人間によって多くの渡り鳥が撃ち落とされてきた歴史も記されています。それでも「渡り」を続ける理由が絵本の中にあふれています。
安心して暮らすため、命を守るため、旅を続ける渡り鳥。命をつなぐ鳥たちの物語をゆっくり味わってください。
(令和2年12月27日秋田魁新報掲載)
仁村 由美子( 聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園 )
対象年齢 | 小学校低学年ぐらいから |
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作者名等 | 鈴木 まもる/作・絵 |
出版社 | 童心社 |