もみの木

 もうすぐクリスマスですね。一年の中でも楽しみなイベントですが、今回はクリスマスにちなんで「もみの木」という絵本を紹介しましょう。
 森の中に小さなもみの木が1本ありました。もみの木は、暖かなお日さまや涼やかな風、優しい森の動物たちに囲まれ、すくすくと育っていました。けれどももみの木は、早く大きくなって森の外へ出て行くことばかり考えていました。
 大きく成長したもみの木は、クリスマスが近づいたある日、ついに切り出されて立派なお屋敷に運ばれていきました。「これからどんなことが起きるのだろう」と期待に身を震わせるもみの木を待ち受ける運命とは…。
 原作はアンデルセンです。彼は1本のもみの木に人生をなぞらえて描き出しました。「本当の幸福」とは何か。とても深いテーマですが、絵本を読んだ後に親子で話し合ってみるのもいいですね。どうぞすてきなクリスマスをお過ごしください。


 (令和2年12月20日秋田魁新報掲載)

 照井 律子( 秋田市立中央図書館明徳館文庫 )

 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 ハンス・クリスチャン・アンデルセン/原作 せなけいこ/絵 石井睦美/文
出版社 KADOKAWA