ねずみくんのチョッキ

 朝、夕の冷え込みが厳しく、冬はすぐそこまで近づいていますね。そこで、心と体がぽかぽかに温まる絵本を紹介します。
 ねずみくんは、お母さんからすてきな赤いチョッキを編んでもらいました。サイズもぴったりで自慢気な表情からうれしさが伝わってきます。そこへアヒルが近づいて来て「いいチョッキだね。ちょっときせてよ。」と話し掛けます。驚いた表情のねずみくんですが、アヒルにチョッキを貸してあげます。
 今度はサルがやって来て「いいチョッキだね。ちょっときせてよ。」と言い、その後も次々と動物たちがやってきて、ねずみくんの赤いチョッキを着ていきます。最後にはねずみくんよりも、とってもとっても大きなゾウがやって来て・・・。
 ねずみくんのチョッキを借りる動物たちはどんどん大きくなり、大事なチョッキもどんどん伸びてしまいます。しょんぼりしたねずみくんの後ろ姿に、子どもたちは「ねずみくん、かわいそう」とねずみくんの気持ちに気付きます。
 伸びてしまったチョッキですが、最後には子ども達が笑顔になるものに変身し、楽しい気持ちで読み終えることができます。ゾウくんの優しさにきっと心がぽかぽかになりますよ。

  (令和2年11月29日秋田魁新報掲載)

  種村 智子( 秋田市寺内保育所 ) 

 

2020あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 なかえ よしを/作  上野 紀子/絵 
出版社 ポプラ社