かんけり

 小さい頃よく遊んだ遊びです。学校から帰ると駅前の空き地に集まって、学年の違う子どもたちみんなで暗くなるまで遊んだ記憶がよみがえってきます。読んでいくと、遊び始める時のワクワク感や、息を潜めて隠れる時に心臓を打つ音が聞こえそうなドキドキ感が、迫力ある絵や文から伝わってきます。
 友達を助けるため缶を蹴ろうか隠れていようかの駆け引き、鬼になった子の真剣なまなざし、捕まった時の悔しさ、鬼をかわして缶を蹴り上げた時の達成感、かんけりを通していろいろなことを経験していきます。
 絵本の中でも、引っ込み思案のちえちゃんが、いつも力になってくれるりえちゃんを助けようと、心の中で葛藤する姿が感動的に描かれています。友達のために勇気を奮って缶を蹴るまでの場面が、生き生きと展開していきます。
 最後のページには、自信を持つことができたちえちゃんが、教室で元気に手を挙げるシーンが描かれており、ちえちゃんの心の成長を感じさせます。
 夢中になって遊ぶことの大切さを教えてくれる絵本。読み終えると炭酸水を飲んだ後みたいに、胸がスカーとしますよ!

(令和2年10月25日秋田魁新報掲載)

 石坂 千雪( 鹿角市児童センター・子ども未来センター )

 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 石川 えりこ/作
出版社 アリス館