ヤナギ通りのおばけやしき

  

 ハロウィーンの夜のことです。ヤナギ通りに、いつもはお化け屋敷と呼ばれるほど暗く古い家がありました。その家に明かりがともっていることに気付いた子どもたちは、家を訪ねることにしました。
 しかし、出てきたおじいさんに「いたずらか、おかしか!」と叫ぶと、おじいさんが「いたずらだ!」と答えるではありませんか。他の家々と同じようにお菓子がもらえると思っていた子どもたちは、すっかり戸惑ってしまいます。
 「いたずら」をくれるというおじいさん。何が起こるか分からない子どもたちのドキドキが伝わり、怖いお話かな、と初めは少し不安になります。でも、実はとても和やかで温かいお話しです。おじいさんの「いたずら」のおかげで、子どもたちは楽しい時間を過ごすことができました。ヤナギ通りでは、今までとは少し違うハロウィーンが定番になったようです。
 この作品は、絵本では物足りなくなってきた子どもたちにも適した読み物ですが、優しい筆触の挿絵が豊富ですので、絵本のように読んであげてもいいと思います。文字が読めるようになっても、文章が理解できるようになっても、身近な人の声で親しむ物語は、子どもにとって特別なものです。


 (令和2年10月25日秋田魁新報掲載)

 柴田 麻衣子( 横手市図書館課 )

 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 ルイス・スロボドキン/作 小宮 由/訳
出版社 瑞雲舎