少し前までは、「恐竜」の特徴といえばとにかく巨大な身体と地味な色合いでした。今や恐竜は、フワフワの羽毛で覆われていたり、色とりどりだったりと、現代の哺乳類顔負けの複雑さ、多様性を持っていたことが明らかになりました。
恐竜が滅びたのは約6600万年前。巨大な恐竜を実際に見た人はいません。でも、その恐竜がもしも普通の家の中に現れたら、どんな感じでしょう。
もう寝る時間ですよ、と言われた途端、子ども部屋の住人たちは急に恐竜に変身します。古生代のディアメトロドンから、人気のステゴサウルスやティラノ、さまざまな恐竜が子ども部屋で大騒ぎ。おもちゃを放り投げ、ぶすっとふてくされています。
くまのぬいぐるみを抱いているティラノサウルスや、お風呂でボディーブラシを使うトリケラトプスも出てきますが、想像以上にかわいいです。ティラノのお休みのキスなんて、胸がキュンとします。
もちろん、そんなことはあり得ませんが、あり得ない世界を楽しめることこそ、絵本の大きな役割でもあるのです。鮮やかな色彩で生き生きと描かれたいたずら恐竜たちの生態を、どうぞお楽しみください。
(令和2年10月4日秋田魁新報掲載)
遠藤 美弥子 ( おはなしの会「おはなしの扉」 )
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | ジェイン・ヨーレン/作 マーク・ティーグ/絵 なかがわちひろ/訳 |
出版社 | 小峰書店 |