さっちゃんとクッキー

 ある日曜日、さっちゃんのお母さんは外出中です。おなかが空いたさっちゃんは、お父さんとおやつを探しますが何も見つかりません。
 そこで思いついたのは、一緒にクッキーを作ることでした。張り切ってお父さんのエプロンのひもを結んであげたさっちゃん。きっといつもお母さんと一緒にお料理をしているのでしょう。お父さんが知らない小麦粉やお砂糖の保存場所まで、ちゃんと知っています。ちょうど遊びに来たお友だちも誘って、三人でクッキーの生地を思い思いの形にしていきます。さて、どんなクッキーが出来上がるのでしょうか。
 子どもは、ささやかでも自分のしたいことにしっかりと向き合ってもらえるとうれしいもの。特別なことはしなくても、満ち足りた時間をもたらしてくれることを改めて感じられる絵本です。
 昭和51(1976)年に初版が刊行された本書に、子どもと笑顔でお菓子作りをするお父さんが登場することには少し驚かされますが、とてもすてきですね。


 (令和2年6月21日秋田魁新報掲載)

 柴田 麻衣子( 横手市図書館課 )

 

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 わかやま けん/作
出版社 こぐま社