くっついた

 赤ちゃんと仲良くなれたとき、うれしくて思わずほほを寄せ、ぎゅーっと抱きしめたくなります。そんな幸せな感覚が、読み進めるとじんわりじんわりと湧き上がってきます。
 シンプルに描かれたキンギョさんやアヒルさん、ゾウさんやおサルさんが出てきます。ページをめくると、離れていた2匹が「くっついた」と口や鼻、手を近づけてぴったんこ。何だか温かい気持ちになります。子どもと一緒に読んでいると、繰り返しのリズムが楽しく「くっちゅいたぁ!」と舌足らずに喜ぶ子もいて、かわいいなあと感じます。
 「おかあさん」と「わたし」が「くっついた」とほっぺをくっつけるページでは、「わたし」のところに子どもの名前を当てはめて読んであげると、さらに楽しさが広がります。
 読み聞かせながら、実際にほっぺを寄せ合っている親子の姿を何度も見かけました。そのページが待ち遠しいようで、開くと急いでほっぺをくっつけます。そのときの表情は、バターがとろけるような笑顔です。
 読んでもらう子どもも、読んであげる大人も幸せな感じることができる絵本です。

(令和2年5月3日秋田魁新報掲載)

 石坂 千雪( 鹿角市児童センター・子ども未来センター )

 

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対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 三浦 太郎/作・絵
出版社 こぐま社