マイク・マリガンとスチーム・ショベル

 スチーム・ショベルを知っていますか。1920年代ごろまで、欧米を中心に掘削工事で活躍した蒸気の力で動くショベルのことです。
 この物語に出てくるスチーム・ショベルの名前はメアリ・アン。相棒で操縦士のマイク・マリガンは「100人の人間が1週間かけて掘る量の仕事を、1日でこなせる」と言います。マイクはメアリを大事に手入れし、何年も一緒に働いてきました。
 交通網を広げるために運河を掘ったり、山を切り開いたりしてメアリとマイクは活躍します。しかし、ガソリンや電気、ディーゼル式など新型のショベルカーが発明され、仕事は瞬く間に無くなってしまいました。
 メアリとマイクは再起をかけ、新設される市役所の地下室を掘る仕事を受けます。期限はたったの1日で、達成できなければただ働きになる厳しい条件。しかし、見物人が多ければ多いほど仕事が早くなるメアリとマイクは、次から次へと訪れる市民の応援を力に、驚異的なスピードで作業を進めます。
 工事現場に映えるメアリの赤いボディーも印象的な一冊です。果たして無事に工事を終えられるのでしょうか。応援しながら結末を見届けましょう。
 

(令和2年4月12日秋田魁新報掲載)

 千葉 智晴( 木育パパサークル「あきた木木遊び隊」 )

 

2020あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 バージニア・リー・バートン/文・絵 いしいももこ/訳 
出版社 童話館出版