主人公は、黄色い体に黒い斑点のある野良猫ピックルズ。アパートの裏庭に暮らし、近所の子猫にいじわるするだけの退屈な日々を送っています。親切に接してくれるのは、住人のグッドカインド奥さんぐらい。でも、実はピックルズは「何かすてきなことをしてみたい」といつも願っているのでした。
ある日、ピックルズは子猫を追い掛けて大きな木に登り、下りられなくなってしまいます。足をすくませ怖がっていると、グッドカインド奥さんから通報を受けた消防士のジョーが助けてくれました。
消防署に連れて行ってもらったピックルズは、柱を伝って下の階に下りたり、消防車に飛び乗ったりする練習に励みます。署長にも認められ、「しょうぼうねこ」として晴れて消防士の仲間入りを果たします。
生き生きと働くピックルズの姿と、彼を心通わせる人々の温かさが魅力的な作品です。少々長めの絵本ですが、子どもはきっと夢中になります。仕事に打ち込み、ついには念願の「すてきなこと」を成し遂げるピックルズの成長を見守りましょう。
(令和2年3月29日秋田魁新報掲載)
田中 絵美( 秋田市立中央図書館明徳館文庫 )
対象年齢 | 小学校低学年ぐらいから |
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作者名等 | エスター・アベリル/作 藤田 圭雄/訳 |
出版社 | 文化出版局 |