おっと合点承知之助

 声に出して読み、語感を楽しむ絵本です。「声に出して読みたい日本語」シリーズの著者でもある作者の齋藤孝さんは、音読してエネルギーを発散することで、子どもたちが元気になると主張します。
 「おはようごん左衛門(ざえもん)」「結構毛だらけ猫灰だらけ」-こうした「付け足し言葉」がページをめくるたびに出てきます。言葉の勢いのままに付け足されたしゃれには心地良いリズムがあり、意味が分からなくても、声に出すと何だか面白くなってきます。
 魅力的なイラストとお話の力も絶大です。子どもたちとおじいちゃんが忍者ごっこを繰り広げ、木登りをしたり、おやつをこっそり食べたり…。コミカルな振る舞いが笑いを誘います。おじいちゃんがとっておきの忍術を披露すると、子どもたちは「驚き桃の木山椒(さんしょ)の木」とびっくり顔。わくわくする展開が盛りだくさんです。
 言葉遊びを通じ、日本語の豊かさを実感することができます。思いがけない言葉のつながりや音の余韻が生み出す面白みを、皆さんも感じてみてください。

(令和2年1月26日秋田魁新報掲載)

 仁村 由美子( 聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園  )

 

2019あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 齋藤 孝/作 つちだ のぶこ/絵
出版社 ほるぷ出版