きらきら

 雪寄せに雪下ろし、雪祭り…秋田での暮らしに、雪は切っても切り離せないものです。今回紹介する「きらきら」は、雪の結晶にスポットライトを当てた絵本です。
  雪の結晶を実際に見たり、手に取ったりしたことはありますか? 基本は六角形ですが、気温や湿度の条件によって無限に変化します。全く同じ形の結晶は二つとないそうです。
  ページをめくると、自然が生み出した唯一無二の結晶の写真が目を引きます。撮影したのは、旧十文字町(横手市)出身の写真家・故吉田六郎さん。「きれいだね てんからおちてきた ほしみたい」など、詩人の谷川俊太郎さんによる語り掛けるような文が添えられ、結晶の美しさと不思議さが際立ちます。
  ここで豆知識を一つ。雪の美しさに魅了され、その研究に力を注いだ人物がいます。世界で初めて人工雪を作った中谷宇吉郎博士(1900~62年)です。生まれ故郷の石川県加賀市には、「中谷宇吉郎雪の科学館」があります。
  「雪は天から送られた手紙である」-中谷博士が残した言葉です。皆さんは雪の結晶からどんなメッセージを受け取るでしょうか。読後はこれまでとは違った雪の世界が見えてくるかもしれませんよ。

(令和2年1月19日秋田魁新報掲載)

 髙橋 寛光(あきたパパ絵本チーム「パパコラボ」)

 

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 谷川 俊太郎/文 吉田 六郎/写真
出版社 アリス館