ピッツァぼうや

 寒い日が続きますね。天気が悪いと外で遊べず、ご機嫌斜めになってしまう子どももいるかもしれません。
 この絵本の主人公ピートもその一人。友達と遊ぶはずだったのに雨が降ってしまい、退屈そうに窓の外を眺めています。お父さんは「なにかいい手はないかな」と、ピートを元気づけようとします。
 思い付いたのがピザ作り。といっても本物ではなく、ピートをピザ生地に見立てたごっこ遊びです。お父さんはピートをキッチンテーブルの上に寝かせると、体をこねたり、引っ張ったり。宙に生地を放り投げる工程もきちんとこなします。
 トマトの輪切り(本当はボードゲームの赤い駒)を散らして、トッピングもばっちり。ピートは黙ってピザ役に徹しています。大きなオーブン(ソファ)に入れたら、ピザの完成です。親子で楽しく過ごしている間に雨はやみ、すっかり上機嫌になったピートは外へ遊びに行きました。
 表紙のとびっきりの笑顔からも、スキンシップ遊びの楽しさが伝わってきます。雨や雪の日はおうちでゆっくり絵本を読み、「ピッツァぼうやごっこ」で心と体を温めてみてはいかがでしょうか。

 

(令和元年12月15日秋田魁新報掲載)

 田中 絵美( 秋田市立中央図書館明徳館文庫 )

 

2019あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 ウィリアム・スタイグ/作 木坂涼/訳
出版社 らんか社