ふしぎなナイフ

 登場するのは、家庭にあるような1本のナイフ。クリスマスが近づき、大勢で食卓を囲む機会も増えてくる季節ですね。ナイフを使う場面もありそうです。ただ、この絵本に出てくるナイフは、普通じゃないんです。
 最初のページを開くと「ふしぎなナイフがまがる」の文と共に、ぐにゃっと曲がったナイフの絵が目に入ります。それだけでは終わりません。ページをめくるたび、形が次々に変化していきます。
 「ねじれる」「おれる」「われる」「とける」「きれる」「ほどける」・・・大胆に変形していく様子を見ていると、「ナイフって何に使う道具だっけ?」と、常識が揺さぶられるような感覚に陥ります。次はどんな形になるのだろうと、想像力が刺激されます。
 最後のページまで目が離せず、わくわくするでしょう。「当たり前」だと思っている見方や感じ方を疑ってみたり、変えてみたりすると、違う世界が待っているかもしれませんね。クイズ形式で読み聞かせ、変化を予想するのも楽しいですよ。

(令和元年12月1日秋田魁新報掲載)

 髙橋 寛光(あきたパパ絵本チーム「パパコラボ」)

 

2019あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 中村 牧江、林 健造/作 福田 隆義/絵
出版社 福音館書店