うまかたやまんば

 先日のハロウィーンでは魔女が活躍しましたが、日本にも恐ろしい怪物-やまんばがいます。表紙に描かれた馬方と馬を見てみましょう。
 何か変な感じがしませんか?
 馬の脚が2本しかありません。山道で襲ってきたやまんばは、馬方から魚を奪った上、乗っていた馬の脚も、ついには馬も丸ごと食べてしまいます。
  どうにかその場を離れた馬方は、やぶを走って偶然見つけた一軒家に逃げ込みました。天井のはりに上がり一息ついていると、なんと帰ってきたのはやまんば。そこはやまんばのすみかだったのです。
  絶対絶命の馬方ですが、おびえてばかりはいません。必死で頭を働かせ、勇気を出して反撃。絵本の聞き手は緊迫感を共有し、勇気を持って立ち向かうことの大切さを学びます。
 昔話には怖いものが繰り返し登場します。思わぬ危険に遭遇したときに備え、それを克服する方法を、長い年月をかけて伝承してきたのです。どうぞ何度でも、このお話を読んであげてください。子どもたちの心に、怖いものに立ち向う知恵と勇気が育っていくと思います。
 

(令和元年11月3日秋田魁新報掲載)

 遠藤 美弥子( おはなしの会「おはなしの扉」 )

2019あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 おざわとしお/再話 赤羽末吉/画
出版社 福音館書店