つきよのかいじゅう

 先月の十五夜の日は、月をご覧になりましたか?今月11日は十三夜。十五夜の次に美しい月だとされています。そんな月夜に読むのにうってつけの、不思議な絵本を紹介しましょう。
 ある山奥の深い湖に、怪獣が住んでいるとの言い伝えがありました。その姿をなんとか写真に収めようと、ある一人の男が、10年もの間カメラを構え続けていました。
 ある夜、ついにその怪獣らしきものの一部分が水面から現れました。男は、その怪獣はどんな姿をしているのだろうと想像をめぐらせながら、夢中でシャッターを切ります。怪獣はぐんぐん大きくなり、今にも月に届きそう。男は言いました。「わー、これはなんだろう?」
 ネタバレになるのでこれ以上お話できず残念ですが、前半少し不気味で緊迫した場面に対し、怪獣らしきものが姿を現した後はとぼけたストーリー展開。あっという間に読み手を異世界に連れて行ってくれます。
 ちなみに、文中には英国スコットランドのネス湖に生息するとの伝説がある怪獣「ネッシー」が登場します。これまで古代恐竜の生き残りの可能性があるといわれてきましたが、最新のDNA研究では、巨大ウナギの可能性が高いとか-。 

(令和元年10月6日秋田魁新報掲載)

 遠藤 美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 長 新太/作・絵
出版社 佼成出版社