みずとはなんじゃ?

 飲む水や、遊びや仕事、料理に使う水-。「普段何気なく使っている水って、一体どんなもの?」。そんな謎が、ゆっくりと解き明かされていきます。
 熱を加えると水蒸気に、冷やすと氷になる水。匂いも色もなく、自由に形を変えられる水を、絵本の中では忍者や役者に例えています。
 体の中に取り入れられた水は、体を元気にしたり、病気を防いだりする働きがあります。それは、動物や植物にとっても同じ。水はまるでお医者さんのようなのです。さらに水は、地球の気候にも関わっています。水は水蒸気や氷の粒へと形を変えて漂い、地球が暑い時はクーラー、寒い時は布団のような役割を果たすのです。
 このように、水にまつわるさまざまな知識が丁寧なイラスト付きで説明されており、きっと子どもたちはわくわくしながらページをめくることでしょう。
 最後のページには、人間をはじめ、魚や鳥、虫といったさまざまな動物たちとともに、水平線が描かれています。まるで「あらゆる生き物がともに生き続けられる地球であってほしい」という作者の祈りが伝わってくるようです。 

(令和元年8月11日秋田魁新報掲載)

 仁村 由美子(聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 かこさとし/作  鈴木まもる/絵
出版社 小峰書店