じゅえきレストラン

  夏の雑木林には、木から染み出る樹液を求めてたくさんの昆虫がやってきます。そう、ここは「じゅえきレストラン」。メニューはべたべたの樹液です。
 最初に登場するのは、はさみのようなあごがかっこいいミヤマクワガタ。夢中でクヌギの樹液をなめるアップの写真が迫力満点です。
 ところで、どうして木から樹液が染み出てくるのでしょう。鍵を握るのはカミキリムシやボクトウガの幼虫。彼らがかんだ穴から樹液が出るのです。木にとって穴を開けられるのは迷惑なことですが、樹液のおかげで昆虫が生きられるのです。
 このレストランには、樹液に夢中になる虫たちを食べようと、カエルやカマキリもやって来ます。木の皮に似ている模様のカエルや、ガを食べるカマキリの写真は必見です。
 樹液は樹種によって香りや味が異なり、昆虫によって好みが分かれるのでしょう。レストランが盛況なのもうなずけます。
 樹液に集う昆虫や生き物を、写真と物語で紹介しています。昆虫採集の前に親子で読むと、採集のコツがつかめるかも-。

(令和元年6月30日秋田魁新報掲載)

 千葉 智晴(木育パパサークル「あきた木木遊び隊」)

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 新開 孝/写真・文
出版社 ポプラ社