ともだちや

 主人公のキツネはある日、「ともだちや」を始めることを思い付きます。「えー、ともだちやです。ともだちはいりませんか。さびしいひとはいませんか。ともだち いちじかん ひゃくえん」と、キツネはのぼりを振って呼び掛けます。
   
声を掛けてきたのはクマ。イチゴを一緒に食べてほしいと頼まれました。キツネはイチゴが苦手なので食べたくありませんが、仕方なく無理に飲み込みます。お代はもらえましたが、おなかはしくしく痛みます…。
    今度はオオカミから声を掛けられました。頼まれたのはトランプの相手。そしてトランプが終わると、オオカミにお代を払ってほしいと伝えました。すると、オオカミは「ともだちからかねをとるのか。それがほんとうのともだちか」とすごい形相で怒り出します。
   
オオカミは、キツネを本当の友だちとしてトランプの相手を頼んでいたのでした。キツネはオオカミから教えられて、ようやく気が付きます。
    オオカミに友だちとして認められたうれしさで、帰り道はウキウキのキツネ。喜ぶ姿もぜひ見てください。
    
陽気な日が増えて、秋田もすっかり春めいてきました。入学を控えるお子さまにピッタリの絵本じゃないでしょうか。友だちづくりの大切さを伝えられる1冊です。               

千葉智晴(木育パパサークル「あきた木木遊び隊」)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 内田 麟太郎/作 降矢 なな/絵
出版社 偕成社