まり

 雲一つない青空と黄緑色が鮮やかな原っぱにたたずんでいるのは、まんまる姿がめんこい黄色のまりです。
 ころんと動き始めて、まりの大冒険がスタート。ころころと坂道を転がって行った先は崖。止まることなく、ぽとーんと落ちて行ってしまいました。でも、大丈夫。何と言ってもまんまるなまりですから、ぽんぽんと弾みながら着地して、進みます。
   
その先に待ち受けていたのは、金足農高野球部の活躍がよみがえってくるような野球のバット。見事に芯に当たって、ひゅーん! と飛んで、壁にぶつかり、今度はつぶれてしまいました。でも、心配ご無用。さいころ型に形を変えて、まりの冒険は続きます。
 さて、まんまるの時は、ころころと転がっていましたが、さいころ型ではどんな音で転がって行くのでしょうか? 冒険の結末は、読んでみてのお楽しみ。
 心地よい擬音語だけで展開するので、赤ちゃんや1人で絵本を読めるようになったばかりの子どもにもお勧めの1冊。大人の皆さんもぜひ、子どもたちが寝静まった時間に読んでみてください。落ちたりぶつかったりと幾多の苦難にあっても、転がり続けるまりの姿が心に染み入ってきますよ。
             

髙橋寛光(あきたパパ絵本チーム「パパコラボ」)

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対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 谷川 俊太郎/文 広瀬 弦/絵
出版社 クレヨンハウス