一さつの おくりもの

 クマの男の子「クマタ」の大好きな絵本は「かいがらのおくりもの」。キツネがお気に入りの貝殻を仲良しの友だちに贈るというお話です。1番好きな友だちだからこそ1番いい物をあげたいというキツネに、クマタは「えらいね」と語り掛けたり、絵をなでたりします。絵本は毎日声に出して読むほど大好きな、クマタの宝物です。
 そんなある日、大変なことが起こります。大雨が降り続き、山の向こうの村が水浸しになってしまったのです。クマタは、友だちと自分の持っている本を山の向こうの村に贈ることにしました。
 クマタは「かいがらのおくりもの」を選ぶつもりはありませんでした。でも、他の本には所々に汚れや傷が…。悩みに悩んだクマタは大好きな絵本を贈ることにするのです。
 子どもは、大人が思っている以上にお話の内容を分かっています。クマタも大切なことを、大好きな絵本から感じ取ったのではないでしょうか。誰かを思いやる温かい気持ちが印象的な1冊です。
 さて、お話には続きがあります。クマタが絵本を贈ってしばらくして、ある出来事が起こります。ぜひ、読んでみてくださいね。

佐藤美郷(秋田市立新屋図書館)

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 森山 京/作 鴨下 潤/絵
出版社 講談社