金剛山のトラ-韓国の昔話-

 日本の隣にある朝鮮半島にはたくさんの昔話が伝えられています。今回紹介するのは、朝鮮半島の中央にある金剛山(クムガンサン)と呼ばれる山岳地帯に伝わる昔話です。
 お母さんと2人で暮らす男の子「ユボギ」は、弓の名人だった父親が金剛山のトラに食べられたことを知り、敵討ちを誓います。何年も夢中で身体を鍛え、弓の名人になったユボギはいよいよ金剛山に向かいます。山で出会った不思議なおばあさんに暗闇で針の穴を射抜く弓の腕前を見せ、さまざまな試練を乗り越えて、ついに敵のトラに出会います。
 しかし、ユボギはトラに飲み込まれてしまい、気づいた時にはトラのおなかの中でした。そこで1人の女の子に出会い、力を合わせて逃げることにします。でも手元にあるのは小さな守り刀だけ。2人は無事に家に帰れるでしょうか
 朝鮮半島の昔話にはウサギやおばあさんにころっとだまされるトラや笛の音を聞くと踊り出すトラなど、トラの出てくる話がたくさんあります。金剛山のトラはとにかく恐ろしく、強く、まるで荒れ狂う大自然の力そのもののように感じられます。
 
ほかの話にも興味を持ったら「ネギをうえた人」(岩波少年文庫)などもぜひ読んでみてください。
 
遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 クォン ジョンセン/再話 チョン スンガク/絵 かみや にじ/訳
出版社 福音館書店