親の遺産でネコ1匹しかもらえなかった粉屋の末っ子ですが、ネコがご主人様のために大活躍。賢いネコの作戦が見事な名作です。
粉屋の父親が亡くなり、長男は風車小屋、次男はロバ、末っ子はネコをもらうことになりました。末っ子はがっかりしましたが、ネコは普通と違って人と話ができました。ネコは末っ子を慰めながら、長靴が欲しいとお願いします。そして、長靴をもらったネコはウサギやウズラを捕まえては「あるじのカラバ伯爵より」と、王様に献上するのでした。
贈り物をもらって「カラバ伯爵」に好意を持ち始めた王様は、池で伯爵が溺れていると聞いて助けます。実はこれもネコの計画のうち。王様のお気に入りの散歩道で末っ子に水浴びするように勧めていたのです。王様と末っ子が馬車に乗って進んでいると、牧場や畑を「伯爵のものです」という人々に出会います。たくさんの土地を持つ伯爵にますます感心する王様に、ネコはさらなる大仕掛けを用意します。
最初はネコだけしかもらえなかった末っ子のことを残念に思う気持ちがあっても、読んだ後は痛快な出世物語に満足感を味わえます。
柴田麻衣子(横手市図書館課)
対象年齢 | 5歳ぐらいから |
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作者名等 | シャルル・ペロー/原作 ハンス・フィッシャー/文・絵 矢川 澄子/訳 |
出版社 | 福音館書店 |