ねむいねむいおはなし

 夜空の下、眠そうな月に照らされ、眠そうな木々に囲まれて、1軒のおうちがありました。ベッドにいるのは男の子。部屋の中のテーブルもカーテンも、みんな眠そうです。
 ところがページをめくると、明るい画面にたくさんの楽器と楽しそうな音符が現れます。椅子も食器も目を覚まして大騒ぎ。時計からは小鳥が飛び出し、男の子も起き上がって踊りだします。
 しばらく音楽が続くと、音符は段々小さくなり、また落ち着いた夜の景色に戻り、男の子は目を閉じます。おうちはしーんと静まり返り、家具も食器も「おやすみなさい」と眠ります。
 楽しい気分が静まり、体がほんわかして「まだ眠りたくない」と思っているのに、いつの間にか眠ってしまう。眠りに入る前の心と体のリズムがそのままお話になっています。
 
遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 夜遅くなっても子どもが寝ない。これは親にとって大問題です。寝たらあれもこれもしようと思っているのに、子どもが全然眠らないと、ついイライラしがちです。でも、もしかしたら子どもは眠るのが少し怖いのかもしれません。そんな時に、絵本の易しい文章が眠りを誘ってくれたらすてきですね。同じ作者の「ゆき」(あすなろ書房)、「よあけ」(福音館書店)もお薦めです。

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 ユリ・シュルヴィッツ/作 さくま ゆみこ/訳
出版社 あすなろ書房