だいくとおにろく

 川の中から現れた赤鬼が、大工の思案顔をのぞきこんでいる表紙絵。話の肝となる場面が迫力満点に描かれています。表情豊かな主人公が昔話の世界へ誘います。
 昔あるところに、流れの速い大きな川がありました。橋が何度も流されるので、困った村人たちは腕のいい大工に、頑丈な橋を作ってほしいと頼みました。
 見どころは、川を見に行った大工と赤鬼の掛け合いです。赤鬼が「おまえの目玉をよこせば、かわりに橋を架けてやる」と言った翌日、大工が川へ行くと橋が半分架かり、さらに次の日に立派な橋ができていました。赤鬼は、「さあ、めだまぁよこせっ」と迫りますが、大工が逃げようとするので、「俺の名前を当てたら許してやる」と持ち掛けます。大工は出任せに答えていましたが、とうとう鬼の名前を当ててしまいます。どうして分かったかは、絵本を見てのお楽しみとしましょう。
 日本画のような絵はカラーと白黒のページが交互に並び、豊かな色彩の世界と水墨画のような世界の両方を楽しむことができます。

 仁村由美子(聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 もうすぐ節分。「鬼は外」と言って行う豆まきは福を呼ぶ行事です。この絵本を読んだら、家庭でも豆まきを楽しんでみてくださいね。節分の翌日は立春です。秋田では春がまだまだ遠く感じますが、暦の上では春がやって来ます。

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 松居 直/再話 赤羽 末吉/画
出版社 福音館書店