「今からしゃべる言葉は、五、七、五のリズムでしゃべるんやで」。国語の時間、先生が突然こう言いました。初めての俳句の授業の始まりです。クラスメートが五七五でうまく話す中、主人公のつよし君はなかなか言葉が出てきません。
連休中の宿題は俳句を3つ考えること。おばあちゃんはつよし君に、じっくりと観察するようアドバイスをくれました。すると、お父さんを見て「かぎどこや いつもとうちゃん さがしてる」「とうちゃんは くつしたズボン ぬいだまま」。お母さんを見て「たちばなし いつまでつづく 月がでる」。大人ならギクリとする俳句が次々と浮かんできます。
みんなで笑い合えたのはいいけれど、家族のあら探しをしているみたいだと言われて、つよし君はがっかり。おばあちゃんは気分転換に動物園に連れて行ってくれました。そこに居合わせた、俳句が得意なクラスメートのみさきちゃんと一緒に、ゾウ、ワニ、キリンなどの動物をテーマにした俳句がひらめき始めます。
みさきちゃんから帰り際に渡された「とっておきのはいく」も女の子らしい思いの詰まったすてきな句です。さてさて、つよし君は「宿題は きちんとクリア できたかな」。
千葉智春(木育パパサークル「あきた木木遊び隊)
▶お父さん・お母さんへの内緒話
お話に出てくる俳句のほとんどは季語がありません。調べてみると、季語の無い俳句は「無季俳句」と言うようです。つよし君のようにコツさえつかめば「ピンー」と浮かんできそう。小学生にぴったりの絵本です。
対象年齢 | 小学校低学年ぐらいから |
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作者名等 | 村上 しいこ/作 市居 みか/絵 |
出版社 | PHP研究所 |