あおくんときいろちゃん

  絵本の表紙に描かれている青と黄色のまる-。彼らがあおくんときいろちゃんです。二人は一番のなかよしで遊ぶときはいつも一緒です。
 ある日、ママがお買い物に行っている間、お留守番を頼まれたあおくんは、どうしてもきいろちゃんと遊びたくなって、きいろちゃんのおうちに出かけて行きました。ところが、きいろちゃんのおうちはからっぽ。あちこち探して、街角でばったり出会ったあおくんときいろちゃんは、嬉しくて嬉しくてぴったりくっついてしまいました。するとどうでしょう。二人は緑色になってしまったのです!
 そのままの姿でいっぱい遊んで、すっかりくたびれておうちへ帰りますが、あおくんの家でもきいろちゃんの家でも、緑色の子はうちの子じゃないと言われてしまいます。二人は悲しくて大粒の涙を流しますが…。
 この絵本に登場するのは、色紙をちぎったようなまるい形だけです。けれどもまるで生きているかのようにいろいろな表情が見えてくるのが不思議です。色とりどりのまるたちが飛んだり跳ねたりしながらページの中を動き回ると、笑い声や泣き声まで聞こえてくるようです。
 
シンプルなストーリーの中に、一人一人の個性や人と人とのつながりなど、深い思いが込められていて子どもだけでなく大人にも愛されています。

 鈴木 千春(秋田市中央図書館明徳館)


▶お父さん・お母さんへの内緒話 
 「あおくんときいろちゃん」は画家、彫刻家、グラフィック・デザイナー、アート・ディレクターなど様々な顔を持つレオ・レオーニが創作したはじめての絵本です。
 
外出の帰り、電車の中で持っていた雑誌をちぎって孫たちにお話ししてあげたことが、この絵本が生まれたきっかけだったそうです。以来、「スイミー」や「フレデリック」など、たくさんの作品を生み出しています。

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 レオ・レオーニ/作 藤田圭雄/訳
出版社 至光社