14ひきのもちつき

 野ネズミの子ども10匹と両親、祖父母、合わせて14匹の大家族のお話です。
 収穫のにぎわいを終えた森は、枯れ葉色に包まれています。野ネズミ一家は森の大木の根っこに住んでいました。寝床や台所、居間は快適そうですね。14匹がここでどんな暮らしを送っているのだろうと好奇心が湧きます。
 お正月が近づいたある日、朝早くから餅つきの準備が始まりました。薪を割り、かまどに火を入れ、お米を下準備して、臼ときねを運び入れー。家の中は活気にあふれています。湯気が立ちこめお米が蒸し上がると、いよいよ餅つきです。きねを振るのはお父さん、仕上げはおばあちゃん。作業は手際よく進みます。
 その様子をじっと見つめていた子どもたちがまねっこを始めました。世代を超え、暮らしの知恵や工夫が受け継がれていく様子から、豊かさが感じられます。
 あんこ、きなこ、くるみ餅・・・。いろんな味のお餅が食卓に並び、おしゃべりしながら楽しい団らんです。鏡餅も飾りました。野ネズミさん、よいお年を!

仁村由美子(聖霊女子短期大学附属幼稚園・保育園)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 14匹のお話はシリーズ化されていて、どの作品も子どもたちは家族の一員として役目を持っています。協力し合って手伝ったり、家族を思いやったりする場面に目が止まります。作者は野ネズミ一家に、家族の絆と、生きる力を身につけることの大切さを託しているのでしょう。大切にしたい家族の姿をしみじみ味わいたいですね。

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 いわむら かずお/作
出版社 童心社