みみかきめいじん

 耳かき屋のひょ・うーたん先生と弟子のひょうすけは、耳かき道具の「耳かき草」を育てながら、毎日一生懸命働いています。耳かきを頼みにくるのは、ゾウさんやウサギさん。耳かきが気持ち良すぎて、終わるころには体が溶けたり、丸まったりします。でも心配はいりません。すぐに元の姿に戻りますよ。
 ある日、初めてのお客さんがやって来ました。「みみを、ほじってけろ」という声はしますが、姿は見えません。透明人間なのです。うーたん先生は透明な耳かき草を使って耳かきを始めますが、何しろ耳が見えないので、つい間違えて鼻の穴をほじほじとかいてしまいました。
 大きなくしゃみと共に一瞬姿を見せたのは、何とサンタクロース。うーたん先生もひょうすけもびっくりしましたが、「しっ、だれにもないしょだぞ」と耳かきを続けます。鈴の音とともに去っていくサンタクロースを見送って、無事仕事が終わりました。
 「それっほじほじほじ」といううーたん先生の声と、気持ち良さそうなお客さんの表情が何ともほのぼのします。そして、うーたん先生とひょうすけの仲むつまじい様子も微笑ましいですね。

遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

▶お父さん・お母さんのへの内緒話
 作者のかがくいさんは、絵本「だるまさんが」のシリーズが人気です。主人公のうーたん先生とひょうすけのシルエットはひょうたん型で、だるまさんとよく似ていませんか?特徴的な画風と温かなストーリーをぜひお楽しみください。

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 かがくい ひろし/作
出版社 講談社