じどうしゃにのった

 車の絵本を読んだときの子どもたちの反応は、年齢などにより異なります。最初は車を指さして「ブーブー」と言うだけかもしれませんが、次第に救急車は「ピーポー」、消防車は「ウーウーウー」などと車の種類を言い当てるようになります。やがて車に乗る人や周囲の環境、車の機能などにl興味が広がっていきます。この絵本は、車を区別できるようになった子どもたちに最適です。
 自動車屋の「ミタサイクル」に注文が入りました。お父さんはミニトラックに自転車を積み、助手席に息子を乗せて、配達に出発します。
 ミニトラックの助手席から見えるのは、幼稚園バスに乗る子どもたちや、ガソリンスタンド、タンクローリー。消防署には消防車と救急車が並んでいます。車が混み合う交差点、土木作業現場で働くさまざまな作業車、遥か遠くの橋を渡るトラックなど、丁寧な描写が目を引きます。車の種類や人との関係について、たくさんの知識が盛り込まれています。
 車が好きな子は、この本を読み終えたら、次は車の図鑑に興味を示すかもしれません。やがて外国の車やレーシングカー、車の構造、歴史などにも関心が広がっていくことでしょう。

 金田昭三(児童文化研究家)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 約30年前に出版されたこの絵本は現在、書店で新品を購入することが難しいようです。県内では県児童会館などに蔵書があります。各地の公立図書館に取り寄せることができますので、問い合わせてみてください。

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 藤本 堅二/作
出版社 福音館書店