ゆびでんしゃ

 子どもの小さな指を、電車に見立てたこの絵本。人さし指にかわいい顔が描かれ、運転手の帽子をかぶっています。行き先は本の山、椅子の鉄橋ー。電車はおうちの中で〝大冒険〟に出ます。
 主人公の男の子は1歳を過ぎたころでしょうか。歩けるようになり、1人でどこまでも進んでいける楽しさと、その先に待ち受けているスリルが伝わってくるよう。次に向かう先を想像してワクワク、そこでの展開にドキドキ。子どもの好奇心の芽生えを見事に表現したストーリーに、引き込まれることでしょう。
 電車はジャングルを越え、砂漠を進み、林を抜けてビルを登ります。終着点は、子どもたちが大好きな「○○駅」。答えは絵本を読んで確認してくだい。読み終えた後「ぼくも」「わたしも」と、「ゆびでんしゃ」が次々発車しそうですね。

 仁村由美子(聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 育児は、子どもの成長の喜びを感じることができると同時に、年齢なりの接し方の難しさを感じるものです。特に、まだ目を離すのが難しい時期は、家族の苦労も大きいことでしょう。でもこの機会に、かわいい運転手さんの「ゆびでんしゃ」に付き合ってみませんか。お客さんになったり、駅になったりしてみると、「子どもって面白い」と改めて感じられるかもしれません。

2016マザーズタッチ文庫へ進む

対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 冬野 いちこ/作・絵
出版社 フレーベル館