かいじゅうたちのいるところ

 主人公のマックスはいたずら好きな男の子。オオカミのぬいぐるみを着て大暴れし、お母さんに寝室に放り込まれてしまいます。
 すると寝室は森や野原に早変わり。マックスは現れた船に乗り航海に出ます。たどり着いたのは、表題にある「かいじゅうたちのいるところ」でした。いろいろな怪獣たちがすごい声でほえ、歯をがちがち鳴らし、目玉をぎょろぎょろさせ爪をむき出します。それでもマックスはひるまず、怪獣たちの王様になりました。マックスは怪獣を従え、思う存分遊びます。
 マックスの豊かな想像力がもたらす奇想天外な冒険のお話です。そこには夢や希望がたくさん詰まっています。特に注目したいのはマックスの表情。お母さんへの不満顔、怪獣を手懐けた時の得意な顔、思いっきり遊んで満足した顔、お母さんと離れて心細くなった時の顔…。心の内を素直に表す子どもの姿が描かれています。
 米国で発行され50年以上、色あせることなく人気を呼んでいる絵本です。ぜひマックスと一緒に冒険の旅に出掛けてください。

 田丸 美穂(秋田県子ども読書支援センター)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 マックスのお母さんは、台詞はあっても姿は出てきません。でもマックスの表情から、お母さんが大好きで、大きな存在であることは明らか。お母さんの愛情もしっかり感じることができます。最後の場面の温かい夕ご飯が、母子の関係を象徴しています。

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対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 モーリス・センダック/作  じんぐう てるお/訳
出版社 冨山房