虫歯になってしまったワニさんが、仕方なく歯医者さんへ向かいます。「ゆっくりあそんでいたいけど、いかなくちゃいけないね」
機械をいじって遊んでいた歯医者さんは、患者がきたことに気付くと、しぶしぶ言いました。「ゆっくりあそんでいたいけど、いかなくちゃいけないね」
歯医者さんの姿を見たワニさんは「どきっ」。患者がワニさんだと知った歯医者さんも「どきっ」。お互いに「こわいなぁ…」と思いながら治療が始まります。
ワニさんと歯医者さんの気持ちを同じ言葉で表現しながら、お話が進んでいきます。治療を受けていたワニさんが、思わず歯医者さんの腕を噛んでしまった場面では「いたい!」と言う声が重なります。治療を終え、どちらも「ほっ」。初めて表情が緩みます。
治療後は、礼儀正しく「たいへんしつれいしました、いずれまた」とあいさつをしてお別れ。でも本音は、互いに二度と会いたくない様子です。その気持ちがワニさんの最後のせりふに表れています。立場が違う歯医者さんにも同じせりふがしっくりきていて、見事な構成に感心させられます。
柴田 麻衣子 (横手市図書館課)
▶お父さん・お母さんへの内緒話
子どもの歯磨きに苦戦しているおうちは多いのではないでしょうか。ワニさんの表情から、虫歯の痛みが伝わってきます。「どうして虫歯になったのかな」「どうすれば虫歯にならないのかな」と話し合うことで、子どもが歯磨きを嫌がらなくなるかもしれませんね。
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | 五味 太郎/作 |
出版社 | 偕成社 |