とんだとんだ

 きれいなチョウが羽を休めています。ページをめくると、そのチョウが「ほわん」と、飛び上がり、美しい模様が見えました。
 別のチョウが飛び上がり、閉じていた茶色い羽を広げると、思いがけず、鮮やかなだいだい色が見えました。「空飛ぶ宝石」と呼ばれるモルフォチョウは「ゆらりゆらり」と青い羽をきらめかせます。
 驚くことに、どのチョウも写真のように見えますが、1本のハサミと色画用紙で作られた切り絵なのです。羽の表と裏の色はもちろん、左右で微妙に違う光の反射も見事に表現されています。
 「虫は苦手」という人もチョウなら好きになれるかもしれません。そう思えるくらい魅力いっぱいの絵本です。

  遠藤 美弥子 (おはなしの会「おはなしの扉」)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 作者の今森光彦さんは有名な昆虫写真家。撮影を手掛けた「昆虫記」「世界昆虫記」(いずれも福音館書店)は、虫好きの子どもたちを夢中にさせています。今森さんは小学一年生の時に切り絵を始めたそうです。完成度の高さも納得ですね。飛んでいるチョウの細かい模様を観察するのは難しいですが、その美しさや不思議さを切り絵がはっきりと伝えてくれます。

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 いまもり みつひこ/切り絵・文
出版社 福音館書店