まちにはいろんなかおがいて

 表紙の写真をじっと見てみてください。信号機の歩行者用押しボタンが載っていますね。このボタンをずっと見つめていると、なんだか面白おかしい「顔」に見えてきませんか?両端のネジが目、押しボタンが鼻、そして下の長四角の案内表示が口。見えてきたら大成功です。
 この写真絵本には町の中にある「顔」がたくさん紹介されています。例えば、マンホール、家、工場、公園の遊具など。いろんな物の中に顔が見えて、表情もさまざまです。機嫌のいい顔、渋い顔、ゆかいな顔、かわいい顔、とぼけた顔…。みんな今にも話し掛けてきそうです。
 写真は作者の佐々木マキさんが写したもので、どれもユニーク。「顔」が分かった瞬間に思わず笑ってしまいます。佐々木さんの作品には「やっぱりおおかみ」(福音館書店)、「ぶたのたね」(絵本館)などの絵本もあり、これらの絵もユーモアにあふれています。
 親子で会話しながら楽しく読めて、読み終わったら身の回りの「顔」を探したくなる一冊です。
   
  解説:田丸美穂(秋田県子ども読書支援センター)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 春になって外に出る機会も多くなりました。ぜひ親子で近所の面白い「顔」を探してみてくださいね。家の周りをゆっくり歩くと、子ども自身も近所を知ることができます。自分が育っている町ともっと仲良しになれると思いますよ。

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 佐々木マキ/文・写真
出版社 福音館書店