いっすんぼうし

 むかしむかし、おじいさんとおばあさんが、お天道様に「子どもを授けてください」とお願いしました。生まれた子は親指ほどの大きさでしたが、おじいさんとおばあさんは「一寸法師」と名付け、かわいがって育てました。
 やがて一寸法師は京に上る旅に出ました。おわんを舟に、箸を櫂にして川をどんどんこぎ上り、とうとう都の大臣のお屋敷で働くことになりました。
 ある日、一寸法師は大臣のお姫様のお供で清水寺へお参りに出掛けました。すると3匹の鬼が現れ、お姫様をさらおうとします。一寸法師は鬼に向かって針の刀を振りかざし、目や口を「ちくり! ざくり!」。鬼たちを追い払い、鬼の残した打ち出の小づちで体を大きくして姫と結婚し、幸せに暮らしました。
 リズミカルで美しい文と、絵巻のようなあでやかな色彩の絵が魅力的なこの物語を、どうぞ隅々までお楽しみください。

    解説:遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

▶お父さん・お母さんへの内緒話
 絵の作者は、91歳で文化勲章を受章した日本画家・故秋野不矩さんです。子どもは6人いて次男は絵本画家の故秋野亥左牟さんです。不矩さんの描くりりしい一寸法師には、子どもの旅立ちを応援する母の慈しみ深いまなざしが感じられます。
 【2015年 マザーズタッチ文庫】

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 いしいももこ/文 あきのふく/絵
出版社 福音館書店