ぞうのたまごのたまごやき

 お城で王子様が生まれたお祝いをすることになり、王様は、国中の人たちにごちそうを振る舞うことにしました。大臣がどんな料理がいいかと相談をすると、卵が大好きな王様は「あまくって、ふーわりふくれた、あったかい」卵焼きにしようと言います。大臣たちがそんなにたくさんの卵はないと訴えると、王様は、ゾウの卵を使えば一度に大きな卵焼きができると提案します。
 なるほどそれはいいと、大臣たちはさっそく準備に取り掛かります。1人は兵隊を集めてトラックに乗り、ゾウの卵を探しに出掛けました。残った大臣たちは、卵を焼くための大きなフライパンや小山のようなかまど作りの指揮を執ります。薪と炭、石炭もトラック1杯ずつ用意でき、あとはゾウの卵の到着を待つばかりです。
 王様も家来たちも、ゾウは卵を産まないのだということになかなか気付きません。本の題名だけで「ゾウは卵を産まないよ」と気付く子どもも、大きな卵焼きを作ろうとする大騒動の物語を楽しめると思います。もちろん、登場人物と共に真実を知るのもまた楽しいものです。
  
  解説:柴田麻衣子(横手市図書館課)
 
▶お父さん・お母さんへの内緒話
 この本は、王様のお話が3話収録されている童話集です。和歌山静子さんの挿絵がかわいらしいですね。ほかに福音館書店からも「ぞうのたまごのたまごやき」が刊行されています。こちらは長新太さんが絵を手掛けており、繊細な作風が魅力的です。
【2015年 マザーズタッチ文庫】
 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 寺村輝夫/作 和歌山静子/絵
出版社 理論社