ちきゅうがウンチだらけにならないわけ

 この絵本のナビゲーターはフレンチブルドッグです。散歩の途中に出たうんちを飼い主に拾ってもらったことから、「ほかの動物のうんちがどうなっているのか」という疑問が湧き、お話が始まります。各ページには「なぜ?」という疑問と一緒に「なるほど」と納得できる答えが描かれ、その面白さに引き込まれます。
 登場する動植物の住む場所や体の大きさ、生態のほか、命をつなぎ子孫を増やす知恵なども描かれていて、図鑑のような豊富な情報量も魅力。環境の過酷さを逆手に取って生きる賢さや強い生命力に、畏敬の念が生まれてきます。
 後半は、ナビゲーターの犬が宇宙から地球を見つめ、「地球がうんちだらけになっちゃうどうしよう」とつぶやきます。ある生き物にとってうんちは排せつ物ですが、ほかの生き物の役に立ち、生命の連鎖ができていると知ると、探究心旺盛な子どもたちの目はキラキラと輝き出すことでしょう。
 見応えのあるこの科学絵本から、作者の豊かな感性と知識量がうかがえます。

  解説:仁村由美子(聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園)
 
▶お父さん・お母さんへの内緒話
 子どもが投げ掛ける疑問や質問は「気付きの種」であり、さまざまな事象について、学び、試し、体験するきっかけになります。ただ、大人はどう答えたらよいか、戸惑ってしまうこともありますよね。そんなときは図書館に出掛けて、親子で「調べっこ」の時間をつくりませんか。調べる楽しさや知る喜びを一緒に体験できるかもしれません。
  【2015年 マザーズタッチ文庫】
 

2015マザーズタッチ文庫へ進む

対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 松岡たつひで/作
出版社 福音館書店