卵の殻を破って黄色いヒヨコたちが元気に誕生する中、一つだけ割れていない卵がありました。お母さんは殻に小さな穴をあけ、中の「たまごちゃん」に、後は自分の力で殻を割るように言います。
たまごちゃんも頑張りますが、力が足りず、いつまでも出てくることができません。弟が殻から出てきても卵のまま。お母さんは殻を割ってあげるかと思いきや、たまごちゃんの意思を尊重して、気長に見守っていました。
ある日、散歩をしているたまごちゃんと弟たちを、大きなカラスが追い掛けて来ました。みんな必死で逃げます。その時、たまごちゃんが偶然、ある手段でカラスを撃退してくれたのです。喜ぶ弟たちを見て、すっかり気を良くしたたまごちゃんは、ある決意をします。
この続きは絵本で確かめてくださいね。たまごちゃんが、にいちゃんへと成長する際の心の変化が、ユーモアたっぷりに描かれています。
解説:児玉育子(秋田市川口保育所)
▶お父さん・お母さんへの内緒話
大人は子どもを大事に思うあまり、先回りして手を貸したり、口を出したりしてしまうことがあります。この絵本のお母さんは、たまごにいちゃんの成長を優しく見守っていますね。こうしてさまざまな体験をしていくたまごにいいちゃんは、自尊心が養われていくことでしょう。この絵本には、子どもを温かく見守る親の姿と、「ありのままのあなたでいい」と思う気持ちが表現されています。また親が子どもの気持ちに寄り添うには、忍耐力も必要と気付かされます。
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
---|---|
作者名等 | あきやまただし/作・絵 |
出版社 | すずき出版 |