虫たちが主人公の昔話です。たくさんの虫が集まって、飲んだり食べたりしていたときのこと。バッタの「とくさん」が腹痛を起こしました。
大急ぎで医者を呼びに行かなくてはいけません。足のたくさんあるムカデの「たへいさん」が、一番足が速そうだということになりました。たへいさんも「それなら、私がひとっ走り行って来ます」と、意気込んで部屋を飛び出していきました。
残ったほかの虫たちは、看病しながら医者を待ちましたが、いくらたっても到着しません。様子を見に玄関へ行ってみると、汗だくのたへいさんがいました。戻ってわらじを脱いでいるかと思いきや、まだ出掛けていないと言うではありませんか。これはどうしてなのでしょう?
お話を進めて行き着くオチは、「なるほど!」と思わず納得して笑ってしまいます。落語のような語り口の文章と、独特の細やかな筆遣いや色彩が魅力的です。
解説:児玉育子(秋田市川口保育所)
▶お父さん・お母さんへの内緒話
ムカデのたへいさんの代わりに、誰がお医者さんを迎えに行けば一番早かったのでしょうか?この絵本を読み終えたら、その理由も合わせて、子どもに聞いてみてください。「ショウリョウバッタ。たくさん跳べるから」「カブトムシ。遠くまで飛べるから」など、さまざまな答えが返ってきそうですね。
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | 飯野和好/作 |
出版社 | 福音館書店 |