表紙では、野菜の力士たちがまわしを着け、真剣な表情で四股を踏んでいます。「はっきよい」と気合の入った掛け声が聞こえてきそうです。
お話は16種類の野菜力士の紹介から始まります。どれも野菜の特徴をよく捉え、ユーモアあふれるプロフィル。例えばジャガイモのしこ名は「じゃがだけ」。ごろごろ県出身、カレー部屋所属-。どんな取組をするのかと考えると、わくわくしますね。紹介文の語尾には「~」が多用されていて、取組の呼び出しのように抑揚を付けて読みたくなります。
相撲に詳しくなくてもご安心を。開幕の場面からは「けろのすけ親方」の解説も入ります。コミカルな得意技の掛け合いが、臨場感たっぷりに楽しめますよ。
結びの一番は「すいかい」対「だいこのあらし」。横綱同士です。さてどんな野菜が登場し、どんな取組を繰り広げるのでしょうか。
作者の観察力、表現力のすばらしさに加えて、愛情あふれるまなざしをユーモアたっぷりに伝えるこの一冊。個性豊かな野菜力士たちの"迷勝負"に、拍手を送りたくなりますよ。
解説:仁村由美子(聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園)
▶お父さん・お母さんへの内緒話
大人にとって、子どもの笑顔は元気の源。一方大人の笑顔は、子どもに安心を与えます。この絵本を真ん中に置いて、親子でいっぱい笑ってください。個性的な野菜力士が生き生きと活躍する様子を見ていると、みんな違っているからこそ面白いのだと気づかされます。
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | かがくいひろし/作 |
出版社 | 講談社 |