おなかのすいた ばったの トト

 トノサマバッタの「トト」はエノコログサが大好きです。ところが、草を食べようとすると草の影から大きなカマキリが…。捕まっては大変です。トトは必死に飛んで逃げましたが、草を食べられなかったトトはますますおなかがすいてしまいます。
 エノコログサを探し始めたトトに、今度はさまざまな音が聞こえてきます。それはいろんな虫たちが食事をする音でした。「チルリチルリ」はチョウが花の蜜を飲む音。「パリポリバリボリ」はつる草を食べるマメコガネ。「カリリポルル」は木の皮を食べるカミキリムシ。みんなおいしそうに自分の好物を食べています。虫たちの食事を見たトトはおなかがすいて我慢ができなくなってしまいました。けれど、トトが好きなのはエノコログサです。すると、「サクサクパリパリ」という音がして…。
 幼少期は昆虫少年だったという作者が描いた虫たちは写実的でとても美しいです。虫の生態もよく描かれています。
 トトから見た世界は絵本のような感じなのでしょうか。ぜひトトと一緒に虫の世界を冒険しませんか。いろんな虫をもっと身近に感じられるようになるかもしれませんよ。


田丸美穂(県子ども読書支援センター)

2018マザーズタッチ文庫へ進む

対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 得田 之久/作
出版社 福音館書店