かにこちゃん

 海が楽しい季節になりました。この絵本は、砂浜で遊ぶ子ガニが主役。赤ちゃんから楽しめる夏らしい1冊です。
 朝焼けの浜辺でカニの子ども「かにこちゃん」の1日が始まります。穴からはい出したかにこちゃんは元気いっぱい。小さい波は「しゃぷしゃぷぴしゃぴしゃ」、大きい波は「どどどどざぶーん」。波を避けるように歩いたり、砂山を登ったりして、かにこちゃんはカニたちと仲良く遊びます。
 デフォルメされた絵は、太陽の熱や波のしぶきが感じられそうなほど躍動感にあふれています。「おひさまがもえているのかな、うみがもえているのかな、そらがもえているのかな」と、かにこちゃんたちが眺める夕焼けのページは、ダイナミック。小さな絵本の中に広がる大きな世界を感じることができるでしょう
 カニたちの動きを表現している擬態語もかわいらしく、リズミカルな言葉の繰り返しが心地よく響きます。おはようからさようならまでシンプルに描かれたかにこちゃんの1日は、人間の小さな子どもと同じ。今日もたくさん遊んだね。またあしたもたくさん遊ぼうね。

柴田麻衣子(横手市図書館課)

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対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 岸田 衿子/作 堀内 誠一/絵
出版社 くもん出版