野原に卵が落ちていました。めんどり、おんどり、ネコまでも自分の卵だと主張します。ネコは卵を産まないと犬が文句を言ったとき、卵が割れて中からアヒルの赤ちゃんが出てきました。みんなは一致協力して、パンを探すやら留守番するやら…。そうして、アヒルの赤ちゃんはむくむく大きく育ちます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、あまり視力がよくありません。色のコントラストがぼんやり分かるだけだとも言われています。
作者のブルーナさんは赤ちゃんたちでも楽しめるように 絵本に工夫を施しています。ブルーナカラーと呼ばれる赤、黄、青など6色で描かれたシンプルな絵柄と黒い輪郭線です。
絵本は視力が弱い赤ちゃんでも形をくっきりと見ることができます。さらに、線をよく見ると、ところどころ波打っています。ブルーナさんが絵を点々で描いていたからです。この形でいいのかと検証するように小さな点を打ち、それをつないで絵ができているのです。
ブルーナさんの絵本が日本で出版されてから、もう半世紀以上がたちますが、今の赤ちゃんもきっとこの絵本を大好きになってくれると思います。
遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)
対象年齢 | 赤ちゃんから(0歳~ ) |
---|---|
作者名等 | ディック・ブルーナ/文・絵 石井 桃子/訳 |
出版社 | 福音館書店 |