りこうな子ども アジアの昔話

 あなたは、大人と子ども、どちらが賢いと思いますか?
 人生経験が多く、言葉もたくさん知っている大人が子どもより賢いと思っている方、この本を読んでみませんか。本には、アジアの三つの国に伝わる昔話が書かれています。どの国にも、賢い子どもがいるものだと感心します。
 インドネシアの「りこうな子ども」は、人さらいが男の子をさらっていくお話です。途中から人さらいが子どものペースに巻き込まれ「ぼくのお兄さんには弟が2人いて、ぼくの弟には兄さんが2人いるから、ぼくは何人兄弟?」と質問されて、こんな賢い子をさらったら大変だ、と子どもを返すのです。
 ほかにも、ネパールの年取った親を竹かごに入れて捨てようとする父親を止める息子の物語「ドコ(竹かご)」と、バラモンの若者に成りすました幽霊の正体を子どもが明らかにするインドのお話が入っています。
 
この本は、初めて本を手に取る読者のため、読みやすい大きな字と、わくわくする物語が特徴のシリーズの一冊です。眼鏡の手放せない大人にも実にうれしい工夫です。悪者の大人を痛快にやっつけるお話を大人も子どもも楽しんでください。
 
遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 松岡 亨子/編・訳 下田 昌克/絵
出版社 こぐま社