おうさまジャックとドラゴン

 小さな子どものごっこ遊びは、大人も驚くような想像力で自由な世界がどんどん広がっていきます。特別な道具が無くても、身近にあるものがたちまち思い通りに姿を変えていくのです。
 おうさまジャックは、しょうぐんザック、チュッパおうじとお城を作ります。壁はダンボール、レンガで押さえてシーツを屋根にします。最後に、棒にゴミ袋を結んだ旗を立てたら出来上がり。3人はお城を守るため、襲いかかる怪獣に手作りの剣で立ち向かいます。
 1日中戦いが続き、気が付くと空が暗くなっています。「こんやはみんなで、おしろにとまろう」とジャックは言いますが、突然現れた巨人に、しょうぐんザックとチュッパおうじが次々と連れ去られてしまいます。ジャックは一人でもお城を守ろうとがんばりますが…。
 まだまだ遊んでいたい子どもたちにとって、迎えに来る親は、恐ろしい巨人なのかもしれません。でも、ドラゴンと戦った疲れを癒してくれるのも、お父さんやお母さんのぬくもりなんですよね。

 絵本のシリーズに「ジャック船長とちびっこかいぞく」があります。海賊になったジャックたちが海辺で大冒険に出ます。ぜひ、読んでみてください。

金森靖子(秋田市立中央図書館明徳館)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 ピーター・ベントリー/文 ヘレン・オクセンバリー/絵 灰島 かり/訳
出版社 岩崎書店