しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん

 まだまだ寒い日が続くこの季節、朝に暖かい布団から出るのが嫌だな、と思うこともありますよね。1日がんばって疲れた体を休める布団。もし、休むだけではなく、助けてくれる布団があったら…?
 「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん あさまで よろしくおねがいします」。男の子がそっと語り掛けます。まずは敷布団に「どうぞ わたしの おしっこが よなかに でたがりませんように」とお願いすると、敷布団が「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」と応えてくれます。
 手足の先まで温めて、転んだ膝の傷も治してくれる「かけぶとんさん」、怖い夢を「ぷっぷっぷー」と吹き飛ばしてくれる「まくらさん」も登場します。こんなに頼もしい布団があったら、心も癒やされて、気持ちよく眠れそうです。

 次の朝、男の子は布団を畳みながら「いつもいろいろありがとう」と声を掛けます。私たちが寝ている布団も、「まかせろ まかせろ」といつも守ってくれているかもと思わせてくれます。毎日使うものだからこそ、ありがとうの気持ちを忘れずにいたいですね。

金森靖子(秋田市立中央図書館明徳館)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 高野 文子/作・絵
出版社 福音館書店