わたしのおかあさんは世界一びじん

 民族衣装をまとった人々や黄金色の麦畑の収穫の様子など、楽しい挿絵で彩られたロシアの昔話です。
 小麦の刈り入れが盛んな季節のお話です。6歳の女の子ワーリャは、いつも両親と一緒に畑へ行きます。ところがある日、お手伝いに飽きて、小麦畑で眠っているうちに誰もいなくなってしまい、迷子になってしまったのです。
 ワーリャは、知らない人たちに優しく名前を尋ねられても、泣きじゃくるばかりで何も答えることができません。そして、「わたしのおかあさんは世界一びじん!」と大きな声で叫びます。
 村中からたくさんの美人が集められますが、お母さんはいません。そこにかけつけたのは、「かおは、大きくてまんまるで、ずんぐりしたはなのうえに、ほそい目がちょこんとついて」いる女の人。ワーリャのお母さんです。その様子を見ていた村長さんの言葉や、ワーリャとお母さんの会話がすてきです。
 裏表紙に描かれたワーリャとワーリャのお母さんは、顔がそっくり。視線を合わせてにっこりとほほ笑む親子の姿に、愛情がたっぷりと感じられます。

 

柴田麻衣子(横手市図書館課)

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 ベッキー・ライアー/作 ルース・ガネット/絵 光吉 郁子/訳
出版社 大日本図書