おっきょちゃんとかっぱ

 「おっきょちゃん」と呼ばれているのは、「きよ」という名前の女の子です。絵本は、おっきょちゃんが迷い込んだ不思議な世界のお話です。
 おっきょちゃんが川の流れに足を浸して遊んでいると、川の中から奇妙な子どもが現れます。その子どもは「ガータロ」と名乗り、おっきょちゃんを川の中のお祭りに誘います。おっきょちゃんは畑のキュウリを手土産に、ガータロに連れられて川の中に入っていきます。そして、キュウリに大喜びした水底のかっぱたちに歓迎され、お餅をごちそうになります。
 ところが、お餅を一口食べるごとに水の外のことを忘れてしまい、とうとうおっきょちゃんは、ガータロのうちの子になってしまいました。かっぱの世界で暮らし始めたおっきょちゃんが心配になりますね。でも大丈夫。本当の自分を思い出し、もう一度ガータロとともに自分の家を目指します。
 幻想的に描かれた水の中の世界。外の世界へ帰るときの呪文や奇想天外な方法。かっぱの世界は少し怖いけれど、ガータロたちとの生活は楽しそう。そしてお母さんの待つ家の安心感。夏にぴったりの冒険物語です。

 

柴田麻衣子(横手市図書館課)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 長谷川 摂子/文 降矢 奈々/絵
出版社 福音館書店